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会長のご挨拶


会長 斎藤 勝彦

日本包装学会 9 代目会長として第 29 回総会で承認された、神戸大学輸送包装研究室の斎藤でございます。ご存じのように日本包装学会の目的は、「包装にかかわる各種材料、加工、機械、システム、製品、検査、流通、デザイン、心理、環境、社会等の科学及び技術の進展をはかり、もって学術文化の向上と産業の発展に寄与すること」であると会則に規定されており、その目的を達成するために、@研究発表会、研究会、講演会、講習会及び見学会等の開催、A会誌その他本会の目的に関係する資料の発行、B関連機関・団体との連絡及び協力、Cその他本会の目的達成に必要な事業を行ってきています。

前会長である椎名先生は、強力なリーダーシップにより事業の基本方針として「包装学の深化と体系化、社会の要請に応えうる開かれた学会づくり、包装分野を担う次世代人材の育成、国際化の推進」を掲げてこられました。特に、「産官学各分野の均衡ある活動促進」と「学生や若手研究者・技術者に魅力ある学会体制」に注力され、在任 4 年間で多大な功績をあげてこられました。その後任としての役割を考えるとき、自身の力のなさを感じており、会員の皆様のお力をお借りしながらなんとか任期を務めなければという思いでございます。

まず、2020 年初頭から世界中に猛威を振るっている「新型コロナウィルスパンデミ ック問題」は、人類に現代社会システムを根底から考え直させる事象となり、当学会におきましても各種の事業が中止・延期に追い込まれております。「With-Corona における学会活動のあり方」の方針は、2020 年度事業計画でも掲げられていますが、具体的な方策をどのように立てていくべきかを、皆様とともに「走りながら考えて」参ります。次に、2030 年が目標とされているSDGsへの当学会としての取り組みです。残り 10 年となった今日でもそれぞれの目標案件について明確な成果が上がるであろうという展望が見ているとは言えない状況ではないでしょうか?当学会としては、容器包装のあり方について学術・技術的視点で積極的に貢献できるような取り組みの方法があるのかもしれません。少なくとも包装という裾野の広い分野を対象にした学術団体として積極的な提言をする機会を検討すべきかもしれません。

さらに、1992 年に発足した当学会の国際化について、これまでIPS(国際包装セミナー)を中核として進められてきましたが、電子化された学術成果がほぼリアルタイムで共有化される現状の中で、他の国際学術団体との連携やいくつかの関連国際ジャーナルとの関係性について議論すべきときにきていると思います。
一方、学会の主たる機能としての「学術成果発表の場」としての活動について、年次大会での口頭・ポスター発表は、会員数との関係でみれば非常に活発ですが、学会誌へ掲載される論文は細分野と数の両面から限定的な状態が続いていると言わざるを得ません。学会メンバーの多くが産業界の方々であるという当学会の特色を生かし、産学共同プロジェクトへのサポートや、新進気鋭の包装技術者が博士の学位を取得しやすいような環境整備を学会事業の面からもできると考えます。

また、包装技術分野においても次世代人材の育成が大きな課題となっています。当学会の将来目標として、「大学に包装関係の学部・学科を設立する」というものが設立当時に掲げられています。技術分野で広範な裾野をもつ包装分野を包含した教育を一つの教育機関として組織化することは至難ですが、遠隔講義が浸透している昨今では、当学会のメンバーが連携した体系化された包装学の「バーチャルキャンパス」での遠隔教育システムとスキル認定制度を、学会として担える能力はあるでしょう。

最後に、各種の学術団共通の悩みである、「会員数」の漸減への対応です。まず、高等教育機関で研究に携わる方々への呼びかけについて、特に大学院生・研究員への研究助成制度や、研究題材を発掘できる産学交流の場の提供、発表しやすい雰囲気づくりなどを通じて、会員の平均年齢を少しでも若くしていく(学生会員の増強)集中的な取り組みをすべきかと思います。学生会員となられた方のキャリアパスとして、包装関連産業界には大きなニーズがあるはずです。彼らが学会発表する機会は、同時にリクルート&スカウティングの場にもなるでしょう。

以上会長就任にあたり、思いつくままにいくつかのアイディア等を挙げました。それらのすべてを任期中に成し遂げることは難しいとは思いますが、発足 30 周年を間近に控え本学会をさらに充実、発展させるために微力を尽くしてまいりますので、会員各位のご支援をよろしくお願いいたします。

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